



飛鳥時代に聖徳太子により開らかれた信貴山は、日本最古の「毘沙門天王」霊場として知られる祈りの山。玉蔵院は信貴山の山内塔頭として平安末期に創建。祈願寺として、また宿坊のあるお寺として広く親しまれています。

玉蔵院の四季
玉蔵院の四季や行事、
日々の取り組みをご紹介しています。
令和5年 後寅(2023年)1月 1日
新年明けましておめでとございます。後寅の令和5癸卯年が始まりました。清々しい気持ちは格別なものです。
今年の干支である兎は、ジャータカ物語や大唐西域記、今昔物語に記載されているように月に上った話が有名です。話の相違は若干ありますが、要約すると次のようになります。「満月の夜、困窮した老人(バラモン僧)に扮した帝釈天。ほかの仲間(二匹または三匹)は、困っていたその人にそれぞれ食べ物を用意して差し出した。食べ物を用意できなかった兎は、自ら火の中に飛び込み、その身を老人(バラモン僧)に捧げた。いわゆる菩薩行と言われる行為をした兎を帝釈天は称え、人々がこのことを知る様に月の中に兎の姿を現した」
1969年月面着陸したアポロ11号から半世紀ほどたち、再び月へ人類が行く計画がなされています。1970年大阪万博でアメリカ館の「月の石」が大人気を博しました。再び2025年2度目の大阪万博にて月にまつわる文物が話題となるかもしれません。昨年12月にアメリカの「アルテミス計画」の無人飛行船オリオンや月面着陸を目指す日本のベンチャー企業が加わったスペースXのロケットが打ち上げられました。月周回軌道上の宇宙ステーション構想や軍事利用、月資源獲得などアメリカ・中国を中心に国際的な競争が加速しています。
月は仏教において、闇夜(無明)を照らす知恵の象徴であり、密教の瞑想では自分の心を月輪として観想する「月輪観」などがあり、悟りの象徴でもあります。月の新月から満月に至る十六の姿を十六大菩薩に対応してとらえられたり、また金剛界曼荼羅の仏菩薩は月輪内の蓮華の上に描かれたりしています。
今年の干支、癸(みずのと)は、『「はかる」を基として、草木の種子の内部に、新しいものがはぐくまれてくる状態』を表し、卯(う)は、『「茂る」「冒(おおう)」の意で、草木が地面を蔽うようになった状態』を表すそうです。一般的に「ウサギ年は跳ねる」と言われたりします。感染症や戦争などが収束して、元気に飛び跳ねる年にしたいものです。
宇宙にまで広がっていく人類。地球上の自然や平和の有難さを忘れることなく、希望ある未来に向けて、一人ひとりが平和や環境の保全に気を配る世の中になることを祈ります。毘沙門天王様の一層の冥加を賜り、本年、後寅が皆様方にとりまして良き年でありますよう、心から御祈念申し上げます。
合掌