飛鳥時代に聖徳太子により開らかれた信貴山は、日本最古の「毘沙門天王」霊場として知られる祈りの山。玉蔵院は信貴山の山内塔頭として平安末期に創建。祈願寺として、また宿坊のあるお寺として広く親しまれています。
玉蔵院の四季
玉蔵院の四季や行事、
日々の取り組みをご紹介しています。
令和6年 甲寅(2024年)正月
謹賀新年
令和六甲辰年を迎え、ご信者の皆さまにおかれましては、和やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます。
コロナウイルスの影響も一段落、久しぶりに活気を取り戻し、賑やかな年末年始となりました。当山におきましても同様で、喜ばしい限りです。海外から多くの人々が日本を訪れるようになりました。日本には四季があり、それぞれの季節のすばらしさがあることにあらためて気づかされ、日本の文化や技術の豊かさに気づかされる思いです。普段の生活では気づくことができない視点の違いや交流によってもたらされるものと思います。
インドで生まれた仏教には、さまざまな発展変化がありました。その中で、唯識瑜伽行派という一派があります。その教えの根幹は、我々の五感や意識で捉えたものは真実ではなく、あくまでも偏った認識の一種であるとし、正しい認識は、釈尊のように欲を離れたものこそが日々の実践を通じて得られるものであるとします。その欲とは、自分自身に関して無知であり、自分自身が確固なものとして在ると思いこみ、自分自身や自分の所有するものに執着を起こしてしまうというのです。その結果、自分の偏った認識のように外の世界があるのだと思い込み、執着してしまうとしています。現実の世界は、自己というものが前提されて成り立ち、日常生活にはそぐわない教えかもしれません。しかし、「世界はさまざまな偏った観点により捉えられているのだ」と明確に示している、貴重な教えであると思います。インドで形成され、中国で法相宗となり、日本にもたらされ奈良仏教の重要な教え(南都六宗)の一つとなりました。その教えを体系化された四世紀のインド北西部出身の僧・無む著ちゃくと世せ親しんという二人は、寄木造の国宝立像がよく知られています。
国家間の問題や混迷多い現代ですが、自分のみが正しいと対立を深めるのではなく、さまざまな世界や人々との交流を深めることにより、新たな認識、自身のより詳しい理解が可能となることでしょう。
コロナの影響が弱まり以前の生活が戻った現在、さまざまに交流を深め、自分自身を発見し直すことができる良い機会と思います。玉藏院も多くのご信者さまをお迎えできるよう準備を整えております。どうぞ、ご参詣ください。
寒さ厳しい季節でございます。皆様ご自愛のほど祈念申し上げます。ご信者皆さまに毘沙門天王様の御加護があらんを。 合掌