



飛鳥時代に聖徳太子により開らかれた信貴山は、日本最古の「毘沙門天王」霊場として知られる祈りの山。玉蔵院は信貴山の山内塔頭として平安末期に創建。祈願寺として、また宿坊のあるお寺として広く親しまれています。
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玉蔵院の四季
玉蔵院の四季や行事、
日々の取り組みをご紹介しています。
令和7年 乙巳(2025年)7月
インドでは、お釈迦様の時代から、仏教修行者は雨季になると「夏安居(ゲアンゴ)」または「雨安居(ウアンゴ)」と称して、 約三か月間、一定の場所に定住し、研究と修養に励んでいたと伝えられています。地域によって雨季の時期は異なりますが、遊行には適さないこの時期に、虫などの小さな命を踏みつけてしまうことを避けるための、仏教修行者にとっての大切な年中行事でもありました。インドの雨季の厳しさやスコールの激しさは、現代でもよく知られています。
現在、温暖化の影響により、海水温の上昇が豪雨災害や海中環境の変化に繋がっていると指摘されています。さらに、熱中症による体調不良や後遺症への懸念も高まっています。健康を過信せず、無理のない生活が求められる現代の夏となりました。猛暑の日も多い一方で、晴天が続くのも日本の夏の特徴です。自然の中で危険を避け、より快適な生活環境を求めることは、古くから仏教修行者の間でも行われてきました。皆様におかれましても、ご自身の健康を第一にお考えいただき、健やかに夏をお過ごしくださいますようお祈り申し上げます。
さて、夏安居が終わると、「自恣(ジシ)」と呼ばれる反省の集いが行われました。これは、仏教修行者が夏安居中に犯した罪の有無を、互いに問い合う行事です。玉藏院で毎年行われていた「布薩会(ふさつえ)」においても、各々が自分自身を省みる機会を設けておりましたが、本年は都合により中止といたしました。ここにお詫び申し上げるとともに、ご報告申し上げます。在家信者の方々は、六斎日(毎月8日、14日、15日、23日、29日、30日の6日間)に、八斎戒(不殺生・不偸盗・不淫・不妄語・不飲酒の五戒に加え、装身具を身につけず歌舞を見ないこと、高い寝台に寝ないこと、昼以降に食事をとらないこと)を守り、身と心を慎んで、自らの行為を反省し、善行に努める精進の日として過ごしていました。
修行者たちの布薩会では、毎月満月と新月の二回、集まって過去半月の行為を省み、罪があれば告白・懺悔することが習わしでした。このとき、修行者たちは「波羅提木叉(はらだいもくしゃ)」――仏教教団の規律を定めた条文――を全文唱えることが基本とされていたようです。自らの行為を省みることは、古来より続けられてきた、大切な実践です。
対立や分断、終わりの見えない戦争行為が続く現代にあって、そして戦後八十年を迎える日本においても、改めて自らを省みることの大切さが問われています。玉藏院は信貴山の山腹に位置しており、平地に比べると過ごしやすい環境です。どうぞご参拝にお越しください。
ご信者の皆様に、毘沙門天王様のご加護がありますよう、心よりご祈念申し上げます。