



飛鳥時代に聖徳太子により開らかれた信貴山は、日本最古の「毘沙門天王」霊場として知られる祈りの山。玉蔵院は信貴山の山内塔頭として平安末期に創建。祈願寺として、また宿坊のあるお寺として広く親しまれています。
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玉蔵院の四季
玉蔵院の四季や行事、
日々の取り組みをご紹介しています。
令和7年 乙巳(2025年)10月
ようやく秋の気配が感じられる頃となりました。
皆さまにはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素より当山護持に格別のご高配を賜り、心より厚く御礼申し上げます。
この夏も豪雨や突風など多くの災害が各地を襲いました。
被災された方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興とご健勝をお祈りいたします。
レイチェル・カーソン女史の名著『沈黙の春』は、農薬による環境破壊が鳥や昆虫の声を奪い、
人間自身の未来を脅かす姿を告発したものであります。
その警鐘は、今まさに私たちが直面する地球温暖化の危機を先取りしていたかのように思われます。
近年、異常気象や森林火災、洪水などが世界各地で頻発し、地球全体が確実に疲弊していることを、
私たちは日々実感しております。
仏典『涅槃経』には「一切衆生悉皆成仏」との尊いお言葉がございます。すべての生きとし生けるものが仏となる可能性を有するという、
深い慈悲の教えであります。その後さらに思想は広がり、「草木国土悉皆成仏」と説かれるに至りました。
大地や山河、木々や草花までもが仏性を宿す存在であると示されたのでございます。
この教えに立ち返るとき、地球環境は単なる利用の対象ではなく、共に尊び敬うべき仏の世界であることを知らされます。
また密教においては、自然そのものが大日如来の顕れであり、修行の場であると説かれております。
現代社会は、宇宙開発や先端技術といった華やかで前向きな事業に力を注ぐ一方で、地球を守る取り組みは後回しにされがちであります。
しかし今こそ、私たちは自然の声に耳を澄まし、足元の大地を大切にすることを忘れてはならないのではないでしょうか。
省エネルギーや再生可能エネルギーの活用、日々の生活の小さな工夫など、一人ひとりの実践の積み重ねが、
未来世代への確かな贈り物となることでありましょう。
秋の澄んだ空のもと、自然の恵みに感謝を捧げつつ、共に調和ある社会を築いてまいりたいと存じます。
過ごしやすい季節を迎えるにあたり、皆さまが信貴山にご参拝され、ご本尊様の御加護を賜られますことを心より祈念申し上げます。