



飛鳥時代に聖徳太子により開らかれた信貴山は、日本最古の「毘沙門天王」霊場として知られる祈りの山。玉蔵院は信貴山の山内塔頭として平安末期に創建。祈願寺として、また宿坊のあるお寺として広く親しまれています。
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玉蔵院の四季
玉蔵院の四季や行事、
日々の取り組みをご紹介しています。
令和7年 乙巳(2025年)4月
謹啓 桜も例年通り開花し、満開を迎えた地域も多くなりました。温かさが増しすごしやすい季節を迎えました。
ご信者の皆様方におかれましては、益々ご清祥にてお過ごしのこととお慶び申し上げます。
先月までは、各地で大雪、寒波到来、山林火災が相次ぎました。被災地の一日も早い復興をお祈りいたします。また、夏の暑さや降雨量の減少などから、米や野菜が不作となり、食料品の高騰が起こりました。気候変動の影響によるとの指摘もありますが、このような事が続かないことを願うばかりです。
しかし、まだ日本には四季があり、各季節の美しさや楽しみ方があります。そのことが海外からの旅行者が増えている大きな要因の一つと言えます。
弘法大師の漢詩文集『遍照発揮性霊集』巻第一にある「山中に何の楽しみか有る」という詩文の中には、山中の楽しみについて次のような一説があります。「・・・山の鳥は時折やって来て歌をうたい。山の猿は軽やかに飛びはね、その技は絶品である。春の花、秋の菊は私に向って笑いかけ。明け方の月、朝の風は俗念を洗い去る・・・」(弘法大師 空海全集六 現代語訳より)
奈良時代に誕生され、平安時代に活躍された弘法大師も、四季の花鳥風月を楽しんでおられたことが分かります。もちろん、華美なものを求めているわけではありません。それ故、「一身に具わる肉体・言葉・精神のはたらきは塵や水滴以上の普遍性をもち。全宇宙を支配する仏に身を捧げている。ひとすじの香の煙とひとくち口ずさむ経典。悟りというすばらしい結果はそれによってもたらされる。」(同上)と続けられています。深山中の平地こそ勝境の修行の地として高野山を望まれた弘法大師の思いが伺われます。
この詩文は、詩人として親しくされた桓武天皇の皇子である良岑安世(よしみねのやすよ)への返礼の詩文とされております。
どうぞ信貴山の春の澄んだ空気をお楽しみにいらしてください。
皆様方に毘沙門天王のご加護があらんことをお祈り申し上げます。 合掌