鎌倉時代、興教大師覚鑁(かくばん)上人がこの山に参篭された時
毘沙門天さまよりありがたい摩訶不思議な玉「如意宝珠」を授けられ
この寺に蔵められたことから『玉蔵院』と呼ばれるようになりました。

国定公園内に位置する信貴山では、四季折々の自然を楽しめます。
春は梅、桜、夏は避暑、秋は紅葉と一年を通じて自然を満喫することができ
山を散策しながらお参り頂く事も出来ます。
一般の観光の個人や団体の方などお気軽にご利用ください。

平成30年7月15日

謹啓 本年も暑い夏がやってまいりました。御信者の皆様方には御清祥にてお過ごしのことと存じ上げます。
 六月十八日には大阪北部地震が起き、七月七日には未曾有の大雨により尊い命が奪われ、現在でも多くの方々が避難所生活を続けておられます。犠牲者の方々のご冥福と、一刻も早く、避難者の方々が元の生活に戻ることができるようお祈りするばかりです。日頃の危険に対する迅速な対応の必要性を痛感いたしました。
 四月一日の信貴山真言宗第八代管長・総本山朝護孫子寺第一三六世法主就任以来、御信者様方から様々な形でお祝いや励ましのお言葉を頂き、誠に有り難うございます。お陰様で皆様の言葉により心強くし、日々、精進しております。
 毎朝、浴油堂で護摩を焚いておりますが、これは弘法大師様が実際に行われていました行で、古くは紀元前のインドのヴェーダの宗教やペルシアのゾロアスター教などとの関連が指摘されています。インド最古の文献であります『リグ・ヴェーダ』には、実際の火であり火の神であるアグニにささげられた讃歌が全体の五分の一もあるそうです。祭火は自己の中に投入される供物を天上の神々に運び、神々を祭場へ運びもする、神と人との仲介者であり、使者とも呼ばれます。火は祭官の原型、神々の祭官でもあります。
 ペルシアのゾロアスター教の聖典『アヴェスタ』は、インドのヴェーダの言葉と近い言語で書かれており、予言者ザラスシュトラの言葉を伝えるものだそうです。そこでは、火を神聖視し、最も清浄なものとしています。寺院でも家庭でも聖火を保ち、その前で祈祷などを行ったと言われています。
やがてインドにおいて火を焚く祭式が仏教に取り入れられ、中国に伝わり、日本にもたらされたのです。つまり、古代の宗教の祭式が時代を経るにしたがって洗練され、真言密教の護摩行に至ったことになります。真言宗では、仏の三密と我々の三密が一体であることを実感してゆくことが修行の目的でもあります。護摩においては、仏の身が護摩壇の火炉(かろ)であり、火炉は我が身でもあります。仏の口は炉の口であり、炉の口はまた我が口であります。さらに、仏の心は炉の中で燃える火であり、火は我が心中の智慧であると観じてゆきます。
 三密の行を修しながら、本尊を供養して、煩悩のそのものが悟りの火になって燃えてゆくことを目指しているのです。我々は大きな命とつながって、不思議にも生かされているのです。護摩を焚きながらそのように実感する日々を送っております。
 暑い日々ではございますが、信貴山の風に吹かれて、爽やかな一時をお過ごしください。
 皆様方に毘沙門天王様の御加護がございますようお祈り申し上げます。                                                                                                                                      合掌